「彼氏できたら紹介してね」と言っていた友人が、カフェで彼に会った日から私を避けるようになった

コラム

ランチの誘いを断られ、メッセージの返事は短くなるばかり。思い切って理由を聞いた私に、友人が返したのは謝罪でも説明でもない言葉でした。

駅ビルのカフェの窓際で、友人は先に座って待っていました。隣に立つ彼を紹介すると、友人の笑顔がほんの少し遅れて返ってきました。その日を境に、同期の中で一番近かったはずの距離が、少しずつ開いていきました。

ランチのたびの口ぐせ

入社してからずっと、ランチはほとんど友人と一緒でした。私に恋人がいないと知ってからは、何かにつけて同じことを言われていました。

「彼氏できたら紹介してね」

「できたらね」と笑って返すのが、2人の間のお決まりのやりとり。

付き合って3か月がたった頃、彼に友人の話をすると「会ってみたいな」と言ってくれました。さっそく友人に伝えると、喜ぶスタンプが何個も続けて届いたのです。紹介するなら、あれだけ楽しみにしてくれていた友人しかいないと思っていました。

半分残ったアイスティー

向かいの席に座ると、彼が軽く頭を下げました。

「はじめまして」

友人は「はじめまして」と返し、膝の上の紙袋を抱え直しました。私たちがよく行く焼き菓子店の袋です。

店員さんが来ると、彼は私の分まで、いつものカフェラテを注文してくれました。仕事の話を聞かれても、嫌な顔1つせずに答えていきます。話の流れで、彼が言いました。

「今度、彼女のご両親にもご挨拶に行く予定なんです」

気づくと友人は、アイスティーのストローで氷を何度も回すようになりました。相づちは打つものの、視線はずっとグラスに向いたまま。いつもなら私より先に質問を重ねる人なのに、その日は私がつないだ話にうなずくばかりでした。

30分ほどたった頃、友人はスマホに目を落として腰を上げました。

「ごめん、このあと用事があって。これ、2人で食べて」

紙袋を私の前に置くと、アイスティーを半分以上残したまま店を出ていきました。人見知りをする子ではないのに。閉まっていく自動ドアを、しばらく目で追っていました。

次のページへ

「よかった」の返事
  • X
  • Line