
「今日も残業」と送り続けた俺。定時後に通っていた駅前のカフェで、妻に言えずにいたこと
コラム
送れなかった言い訳
「打ち合わせが長引いて」「急に別の用事が入って」
打ち込んでは消した言い訳は、どれも送れませんでした。3週間、同じ一言で嘘を重ねてきたのです。ここでまた別の言い訳を送れば、本当のことを話す機会はもう来ない気がしました。
問題集を閉じ、30分ほど迷った末に送ったのが「帰ったら話す」です。
受かってから、笑って打ち明けるつもりでした。けれど、これ以上妻を1人で悩ませるほうが、ずっとよくない。カフェを出て駅へ歩きながら、話す順番を何度も組み立て直しました。
そして...
玄関の鍵を開けると、廊下の先に妻が立っていました。かばんから参考書と、来月の試験の受験票を出して見せます。去年のことも、今年は受かってから話したかったことも、組み立てた順番どおりには言えませんでした。
妻は受験票をしばらく見てから、「残業じゃなかったなら、ごはん一緒に食べたかった」とだけ言いました。
次の日から、参考書はダイニングテーブルの上に置いています。試験までは、あと3週間。去年の「また来年があるよ」を、妻がどんな気持ちで言ったのかは、まだ聞けていません。
(30代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)































