
結婚相談所の担当者として、私が条件外の人を紹介し続けた理由。入会の日、彼女が楽しそうに話していたこと
コラム
担当会員の希望条件から外れた男性を、私は3人続けて紹介しました。入会の日に面談シートの余白へ書き留めた一言を、いつ本人に見せるべきか迷いながら。
面談シートの希望条件の欄に、彼女は迷わずペンを走らせていました。年齢は、年下の人。結婚相談所の担当として、その条件を向かいの席から読んでいました。その日の面談で気になったのは、条件そのものではありません。
条件を話すときと、旅行を話すとき
条件の理由を聞くと、彼女は「年下のほうが気楽そうなので」と答えました。言葉ははっきりしているのに、声の調子は書類を読み上げるときとあまり変わりません。
様子が変わったのは、休日の過ごし方を聞いたときです。友人との旅行では、いつも彼女が行き先や宿を決めているのだそう。見つけた小さな食堂の話になると、身を乗り出して、スマホの地図まで見せてくれました。
旅行の計画を立てた話を、彼女は面談の中でいちばん楽しそうに話していました。彼女の言う気楽さは、年齢より、自分で選べることにあるのかもしれない。私はシートの余白に、そのことを短く書き留めました。
条件外だと分かっていても
年下でなくてもかまわない。彼女が選んだ場所を、一緒に楽しめる人を探そうと決めました。紹介したのは、会員面談で「相手の行きたい場所に行くのが好き」と話していた、同い年や年上の男性たちです。
1人目は同い年の男性。報告の面談で彼女は、年下ではないことが引っかかると言いました。
2人目のシートを渡したときです。
「この方、条件外ですよね?」
彼女はシートを指で押さえたまま、こちらを見ました。私はうなずいて答えました。
「はい、外れています」
そう認めてから、私は続けました。
「それでも、一度会ってみてもらえませんか」
理由を話すことも考えました。ただ、会う前に私の見立てを伝えれば、彼女は相手ではなく、私の言葉が正しいかを確かめに行くことになる。だから、何も足しませんでした。
2人目のあとの報告で、彼女ははっきり言いました。
「次は、条件どおりの方でお願いします」
「考えておきますね」
そう答えたものの、3人目に選んだのは彼女より5つ上の男性でした。年下という条件だけで探せば、あの日の楽しそうな顔から遠ざかる気がしたのです。
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余白に書いていた一言





























