理由を言わずに友人の引っ越し祝いを断った私。「予定があるわけじゃないんだけど」の続き

コラム

「そういうことじゃないよ」と送ったきり、友人との2人のチャットは止まったままでした。消してしまった長い文に、本当は書きたかったことがありました。

始まりは1か月あまり前。グループチャットの通知が、続けて鳴りました。友人の引っ越しの報告と、それに「引っ越し祝いしようよ」と返した大学時代の仲間のメッセージです。何度か書き直してから私が送ったのは、断りの返事でした。

歩いて10分の距離

友人とは、大学を出てから4年間、歩いて10分の距離に住んでいました。仕事のあとに友人の部屋へ寄り、おかずを分け合う日が週に何度もありました。

友人が職場の移転で、電車で1時間ほどの町へ越すと聞いたとき、私は笑っておめでとうと言いました。大人が友人の引っ越しで寂しがるなんて子どもっぽい気がして、口に出せなかったのです。

だから祝いの日程が決まったとき、新しい部屋で乾杯する自分を想像して、うまく笑える気がしませんでした。去年の春、仲間の引っ越し祝いには一番乗りで行けたのに。あのときは、私の毎日から何も減らなかったからです。

返したのは「ごめん、その日は行けない」でした。

うまく選べなかった反応

個別のチャットで予定を聞かれ、「予定があるわけじゃないんだけど」とだけ返しました。嘘の予定も、本当の理由も書く気になれませんでした。日程をずらそうかと気づかってくれた友人には、「ううん、みんなで楽しんで」とすぐに打ちました。

当日は、家にいられずに外へ出ました。気づくと歩いていたのは、いつも友人の部屋へ通っていた道です。

グループチャットに届いた乾杯の写真を開いたのは、自分の部屋に戻ってからです。新しいカーテンの前で、友人は笑っていました。どの反応を選んでも嘘っぽく思えて、画面を閉じました。

しばらくして、友人の名前の通知が届きました。

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