2カ月迷った俺が、彼女の家の近くの公園からやっと送れた一言

コラム

「本気?」と届いた画面を前に、返信を何度も打っては消しました。そうさせたのは自分だと分かっていたから。俺が選んだのは、返信ではない答え方でした。

スーツの内ポケットには、この2カ月で角の布がすっかり擦れた紺色の小さな箱。友人の結婚式の二次会を早めに抜けて、彼女の住むマンション近くの公園へ向かいました。ベンチから見上げると、3階の彼女の部屋には明かりがついていました。

ポケットで擦れていった箱

付き合って3年、結婚の話が出るたびに曖昧に笑ってごまかしてきたのは、主に俺のほうでした。

2カ月前に指輪を買ってからは、毎日のように上着に入れて持ち歩きました。彼女の誕生日の食事でも、ポケットの中で箱を握ったきり、そのまま帰りの電車に乗りました。

その日、式のあとに彼女へ「二次会、顔出してくる」と送りました。式でも二次会でも乾杯はウーロン茶で済ませ、幹事に断って会場を出ました。酔った勢いだと思われるのだけは避けたかったからです。

押せなかった部屋番号

電車で数駅、彼女の最寄り駅で降りて、引き出物の紙袋を提げたまま公園のベンチに座りました。

エントランスまで歩いては戻るのを3回。インターホンの前で部屋番号を押しかけて、指を引っ込めたこともありました。

このままでは、また箱を持ったまま帰ることになる。そう思って、スマホに「結婚しようか」と打って、そのまま送信。自分が引き返せなくなるための一行でした。

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