
昼休みのたびに階段の踊り場へ消えていた俺。付箋だらけの本を後輩にだけは見せられなかった事情
コラム
3回目の試験を終えて
後輩は約束を守ってくれました。それからも誘われるたびに、俺は同じ言葉で断りました。後輩はうなずくだけで、階段のことを誰かに話した様子もありません。
試験を受けたのは、それから3週間後のことです。結果が出た日、合格の表示を見つけて最初に浮かんだのは後輩の顔でした。翌日、付箋だらけの参考書を持って、後輩の席へ行きました。カバーを外し、表紙を見せます。
「実は、ずっとこれをやってた。教える側が2回も落ちてるなんて、言えなくてさ」
後輩は表紙と俺の顔を何度か見比べてから、ぽつりと言いました。
「先輩、会社辞めちゃうのかと思ってました」
そして...
辞めると思われていたとは、考えてもいませんでした。あの日、何も聞かずに引き下がってくれたのは、後輩なりの気づかいだったのかもしれません。
折り畳み椅子は、家に持ち帰りました。
「先輩、お昼ごはん行きませんか?」
次に後輩から誘われた時、「行こうか」と答えて、一緒に定食屋へ向かいました。
(30代男性・事務職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)































