「彼女には内緒で頼みたいんだけど」帰りの電車で届いた彼の一通は私宛てではなかった→返ってきた答えは

コラム

帰りの電車で、つり革を持ったままスマホの通知を開きました。画面に出ていたのは、付き合って2年近くになる彼からの新しいメッセージ。ところが、開いた文面は、どう読んでも私に宛てたものではありませんでした。

宛先を間違えた1通

彼とは電車で30分ほど離れた街に、それぞれ住んでいます。普段のやりとりは、仕事終わりの他愛ない報告がほとんどでした。その日届いたのは、こんな文面です。

「彼女には内緒で頼みたいんだけど、この前教えてくれた店、今度一緒に行ってくれない?」

彼女、というのは私のことでしょう。宛先は明らかに私ではなく、誰か別の相手。つり革を握り直して、もう一度頭から読みました。

「この前教えてくれた店」が何の店なのか、文面からは分かりません。分かるのは、私に知られたくない用事があり、それを誰かに頼もうとしていることだけでした。

送るか迷った返信

気づかなかったふりをして、いつもどおりのメッセージを送ることもできます。けれど、それではこの一通をずっと気にし続けることになりそうでした。

最寄り駅のホームに降りて、ベンチの端に腰かけてから短く打ちました。

「これ、私宛てじゃないよね?」

送信してすぐ、彼からの返事が届きます。

「ごめん、友達に送るつもりだった」

友達と聞いて浮かんだのは、彼の大学時代からの友人の顔でした。私も何度か一緒に食事をしたことがある人です。その友人になら頼めて、私には言えないこと。

ホームに次の電車が入ってくる音を聞きながら、もう一通だけ送りました。

「内緒って、何のこと?」

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