「彼女には内緒で」と打った俺が、友人に頼もうとしていたこと

コラム

友人からの返事を待っていたスマホに、届いたのは付き合って2年近くになる彼女からのメッセージでした。開いてみて、ようやく自分が送り先を間違えていたことに気づきます。友人に頼むはずだった一通は、いちばん読まれたくない相手に届いていました。

机の上の小さな袋

1年目の記念日に、彼女が選んでくれたのが腕時計でした。毎日つけていたその時計を、先月、友人たちとのフットサルで転んだ拍子にコートの柵へぶつけてしまったのです。

ガラスにはひびが入り、針は止まったまま。それ以来、時計は布の袋に入れて机の上に置いていました。

フットサルの場にいた大学時代からの友人が、自分も時計を直してもらった店があると教えてくれました。友人の知り合いがやっている小さな店で、一緒に行けば話を通してくれるそうです。

次に彼女と会うのは、付き合って2年の記念日の食事。それまでに直して、何事もなかったように手首につけていくつもりでした。

「彼女には内緒で頼みたいんだけど、この前教えてくれた店、今度一緒に行ってくれない?」

その一通を、俺はチャットの一覧で友人のすぐ下にあった彼女に送ってしまったのです。

打っては消した返事

「これ、私宛てじゃないよね?」という彼女の言葉を見て、すぐに打ち返しました。

「ごめん、友達に送るつもりだった」

続けて事情を書こうとして、打った文を消しました。時計を壊したと書けば、それで済む話です。けれど、彼女が選んでくれたものを自分の不注意で壊したと、メッセージで伝える気になれませんでした。

迷っているうちに、彼女から次のメッセージが届きました。

「内緒って、何のこと?」

壊れたと打っては消し、フットサルでと打っては消し。何通分もの文面が、送られないまま消えていきました。結局送ったのは、これだけです。

「今度会ったとき、ちゃんと話す」

彼女からは「わかった」とだけ返ってきました。

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