「地名だけ送ってくるってどういうこと?」付き合って10日の彼に聞くと「来週の土曜、空いてる?」

コラム

「行けば分かる」の一点張り

「行けば分かる」
それだけでした。もう少し教えてほしくて、「誰かとの思い出の場所?」と送ってみました。
「違う。でも行けば分かる」
否定されたことに少しほっとしつつ、やはり答えにはなっていません。行けば分かるということは、行くまでは言えない何かがあるということです。
友達に話すと、「サプライズじゃない?」と言われました。そうだったらいいと思う一方で、サプライズにしては場所があまりに唐突です。地名だけを残して説明を避ける彼が、少し遠く感じられました。

そして...

約束の日、私たちは古い電車に揺られていました。車窓の向こうに、ときどき海がのぞきました。浜のことを聞いても、彼は「着いてからね」と笑うだけ。窓の外を眺める横顔からは、何も読み取れませんでした。
小さな駅で降りると、彼は改札を出たところで振り返りました。
「ここから少し歩く」
潮の匂いがする細い道を、彼は迷いなく進んでいきました。その途中にあった古いアイスの店の前で、私は足を止め、思わず口にしました。
「ここ。おばあちゃんと来た」
子どものころ、祖母と来た夏の海。その名前も場所も、私はずっと忘れていました。店先の看板をしばらく見上げてから、同じアイスを2つ買い、1つを彼に渡しました。
私自身が覚えていなかったこの海を、彼はどうやって見つけたのでしょうか。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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