
「お前を振ったのは俺だ」と3年言い続けた元カレ→座敷で「振ったのは私でしょ」と返すと
コラム
「振ったのは私でしょ」と言った瞬間、座敷の笑い声が止まりました。言い返してくると思っていた元カレが、グラスを置いて窓の外に目を向けます。
座敷のふすまを開けると、サークル仲間の笑い声があふれてきました。半年ぶりの集まりで、一番奥の席には3年前に別れた元カレが座っています。目が合った瞬間、また始まるのだと分かりました。
毎回の決まり文句
「お、来た来た。お前を振ったのは俺だからな」
元カレは集まりのたびに、同じことを言います。
本当は逆でした。
元カレとは大学のサークルで知り合い、卒業の少し前から2年ほど付き合っていました。
3年前の雨の日、駅前のカフェで別れを切り出したのは私のほうです。
それなのに元カレは、仲間の前では必ず自分が振ったことにしていました。
仲間たちはそのたびに笑い、私は苦笑いで聞き流すのがお決まりです。
場の空気を悪くしたくなくて、少しくらいは我慢しようと思ってきました。
けれど3年も同じ話を聞かされると、さすがに笑えなくなっていました。
とうとう言い返した
乾杯がすみ、昔話で盛り上がり始めたころです。
幹事の友人が、思い出したように聞きました。
「そういえば2人、なんで別れたんだっけ」
元カレはすかさず、いつもの調子で答えます。
「お前を振ったのは俺だ」
仲間たちが、どっと笑いました。
私はグラスをテーブルに置き、元カレをまっすぐ見ました。
「振ったのは私でしょ」
座敷の笑い声が、ぴたりと止まります。
隣の席の誰かが、箸を持ったまま私と元カレを見比べていました。
元カレの口が、ゆっくりと開きました。
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「あの日、雨だったよな」




























