「ねえ、覚えてる?」と付き合いたての彼→続いた「小3の遠足」の一言に、私は返信を迷った

コラム

「間違えてないよ」。彼はそう言い切りました。私の記憶のどこを探しても見つからない場面を、彼ははっきり覚えているようでした。その答えは、次に会う日まで持ち越されました。
ソファでくつろいでいると、彼からメッセージが届きました。「ねえ、覚えてる?」。付き合って2週間の彼が、何の前置きもなくそう送ってきたのです。思い当たる出来事を、私はすぐには見つけられませんでした。

付き合って2週間の彼から

彼とは、1カ月ほど前に友人の誕生日会で知り合いました。話しやすくて、気づけば連絡を取り合うようになり、2週間前に付き合い始めたばかりです。
まだお互いのことを少しずつ知っている途中。共通の思い出と呼べるものは、ほとんどありません。
何のことだろう。この前のカフェのことか、初めて話した日のことか。考えているうちに、彼から続けてもう1通届きました。
「小3の遠足」
画面を見たまま、私はしばらく考えました。彼は隣の県の出身だと聞いています。私の小学校の遠足を、彼が知っているはずがありません。

思い出せない遠足

しばらく迷ってから、私は正直に打ちました。
「ごめん、何のことか分からない」
彼の返事はすぐに届きました。
「やっぱり覚えてないか」
責めるような文面ではありません。それでも、彼の中には確かな何かがあるのに、私だけが置いていかれているようでした。
気になって、私は実家の母に電話をかけました。
「小3の遠足って、どこに行ったか覚えてる?」
「動物園でしょ。あんた、迷子になりかけて先生に叱られたって泣いてたじゃない」
動物園。そう言われると、キリンの長い首を見上げた記憶がぼんやりと浮かびます。けれど、そこに彼の顔はありません。

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「間違えてないよ」
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