
行の頭に「ずっとまえ」と並べた俺→社内の勉強会の休憩中、隣の席から聞こえていた一言のこと
コラム
「気づくの早い」。そう返したとき、本当は少しだけほっとしていました。まっすぐ言えない言葉を、彼女なら拾ってくれると思えたからです。続きの2通は、もう頭の中にできあがっていました。
5行のメッセージを打ち終え、行の頭を上から順に確かめました。ず、っ、と、ま、え。何度数えても、ちゃんと並んでいます。付き合って3週間の彼女に送信するまで、ずいぶん時間がかかりました。
言えなかった一言
彼女と知り合ったのは、1年前の社内の勉強会でした。隣の席で、彼女は資料の誤字にこっそり線を引いていました。休憩中には、駅の裏にずっと気になっているカフェがある、と話していたのです。
その日から、気づけば彼女を目で追うようになっていました。けれど部署も違い、話しかける勇気も出ないまま時間だけが過ぎました。
3週間前、食事に誘ってくれたのは彼女のほうです。その帰り道に付き合うことになり、俺はうなずくのが精一杯でした。
勇気を出したのは、彼女のほうだけでした。でも、先に好きになったのは俺のほうだと、彼女には知っておいてほしかったのです。
縦に並べた理由
面と向かって言うのも、メッセージでまっすぐ打つのも、俺には照れくさすぎました。
そこで思いついたのが、学生のころによく遊んでいた縦読みです。3通に分けて、行の頭に言葉を並べる。「ずっとまえ」「から」「すきでした」。
1通目の題材には、彼女が勉強会で話していたあのカフェを選びました。1年越しに、一人で行ってきたのです。「っていうか」で始まる行や「えらんだ」が苦しいことは、自分でも分かっていました。
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早すぎた返事




























