いつも一番乗りだった友人が、私の新しい部屋にだけ来なかった。「予定があるわけじゃないんだけど」

コラム

返ってきた短い否定

「私の引っ越し祝いだけ、来たくなかった?」

友人から返事が来たのは、ベッドに入ってだいぶたった頃です。「そういうことじゃないよ」。続きを待っても、それきりでした。

じゃあ、どういうことなの。そう打ちかけて、やめました。聞けば、友人にとって私の部屋はその程度だと確かめることになる気がしたのです。

それからの1か月、グループチャットでは普段どおりにやりとりしても、2人だけのチャットは止まったままでした。

そんなある日、友人から「今度の休み、そっちの駅まで行ってもいい?」と届きました。「いいよ」とだけ返しました。

そして...

約束の日、新しい最寄り駅の改札の前に立ちました。現れた友人は、小さな紙袋を両手で持っていました。

「あの日のこと、ちゃんと話したくて」

そう言って、友人は紙袋の持ち手を握り直しました。

部屋に着くと、友人はマグカップを差し出して、あの日来なかった理由を話してくれました。私は少し黙ってから、そのカップを棚の一番手前に置きました。

「次は、一番乗りで来てね」

私がそう言うと、友人はやっと、いつもの顔で笑いました。

いつも一番乗りだった友人が、あの日だけ来なかった理由。それは、私が1か月思い込んでいたものとは正反対のものでした。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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