
理由を言わずに友人の引っ越し祝いを断った私。「予定があるわけじゃないんだけど」の続き
コラム
打ち直してばかりの返事
「私の引っ越し祝いだけ、来たくなかった?」
友人からのそのメッセージに、違う、と伝えたくて長い文を打ちました。寂しかったこと。行けば、それが顔に出てしまうと思ったこと。読み返すと言い訳にしか見えず、全部消しました。「そういうことじゃないよ」とだけ送れたのは、だいぶたってからです。
それからの1か月、グループチャットには普段どおり返しても、友人との2人のチャットは開けないままでした。説明しなかった「そういうこと」が、ずっと宙に浮いていたからです。
休みの日に雑貨屋で、友人の新しい部屋に置いてもらうマグカップを1つ買いました。それを口実に、「今度の休み、そっちの駅まで行ってもいい?」と送りました。返事は「いいよ」だけでした。
そして...
改札を抜けると、友人が先に着いて待っていました。私は「あの日のこと、ちゃんと話したくて」と言うのがやっとで、マグカップの入った紙袋の持ち手を握り直しました。
部屋に着いて、カップを渡しながら打ち明けました。
「行ったら、おめでとうって顔できないと思ったの。遠くなるのが、思ってたより寂しくて」
友人は少し黙ってから、カップを棚の一番手前に置きました。
「次は、一番乗りで来てね」
友人がそう言ってくれて、私はやっと、いつもの顔で笑えました。歩いて10分が電車で1時間になっても、一番乗りは、これからも私の役目です。
(20代女性・販売職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)































