「今日も自習室来た」と母に送り続けた俺→6月の写真を撮った頃のことを、母にまだ言えていない

コラム

怒られなかった帰り道

言い訳をいくつも打っては消して、結局「ごめん。友達とファミレスにいる」とだけ送りました。

返ってきたのは、怒った言葉ではありませんでした。てっきり叱られると思っていた俺は、画面を見たまま、グラスの氷が溶けていくのを眺めていました。母の1通目は、こうでした。

「嘘をつかれたのが一番悲しい」

続く2通には、何かあった時に助けに行けないこと、自習室にいなくてもいいから行き先を教えてほしいことが書かれていました。

「わかった。ほんとにごめん」と返して、友達には先に帰ると伝えました。

家に着き、玄関のドアを開けました。

「ただいま」

「おかえり。ごはんあるよ」

母はそれ以上、何も聞いてきませんでした。俺は母の顔を見られないまま、洗面所へ向かいました。

そして...

それからは、遅くなる日は先に行き先を送るようにしました。

「今日は友達とカラオケ寄ってから帰る」

母からは、決まってこう返ってきます。

「了解。気をつけてね」

自習室に行く回数は減りましたが、行った日は、その日に撮った写真を送りました。壁のカレンダーは、もうぶどうと栗の絵に変わっていました。

6月は本当に毎日通っていたことを、母にはまだ話せずにいます。次のテストで点が取れたら、あの頃の写真と一緒に話すつもりです。

(10代男性・高校生)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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