「友達に俺の悪口言ってるだろ」と言った彼→私がお手洗いに立った数分後、カフェの席で黙りこんだ

コラム

お手洗いから戻ると、高校時代からの友達のスマホが、画面を伏せてテーブルに置かれていました。さっきまで友達の顔をうかがっていた彼は、カップを見つめたまま口を開こうとしません。

始まりは数日前。彼の部屋で映画を見ていると、テーブルの上の私のスマホが光りました。画面に目をやったのは、私より彼のほうが先です。映画が終わるまで、隣の彼は一度も笑いませんでした。

映画のあとの問いかけ

「友達に俺の悪口言ってるだろ」
エンドロールが流れ始めたところで、付き合って1年の彼がそう言いました。
「言ってないよ」
「見えたんだよ、通知」
私が否定しても、彼は譲りません。
スマホを開くと、高校時代からの友達から「それ、彼氏ひどくない?」と届いていたのです。
彼が記念日を忘れていたことを友達に少し話したのは、本当でした。
けれど、ひどいと書いたのは友達で、私ではありません。
説明しようとしても、彼は腕を組んだまま首を横に振るばかりでした。
友達の言葉を私のせいにされるのは、どうにも納得がいきません。
すると彼が言いました。
「じゃあ、その友達に会わせてよ」

3人で座ったカフェ

数日後、駅前のカフェで3人が向かい合うことになりました。
友達は彼に丁寧にあいさつしたものの、にこりともしません。
彼のほうも、メニューを持ったまま友達の顔をうかがっていました。
私ばかりが話して、2人の相づちだけが返ってきます。
注文したケーキにも、2人はほとんど手をつけていませんでした。
気まずさに耐えられなくなり、私は席を立ちました。
「ちょっとお手洗い行ってくるね」
席に戻ったときのことです。
テーブルの空気が、出ていく前とまるで違っていました。

黙りこんだ彼

友達のスマホは、画面を下にしてテーブルに置かれていました。
彼はカップを両手で包んだまま、黙りこんでいます。
さっきまで友達の顔をうかがっていた目は、テーブルの一点から動きません。
「何かあったの」
私が聞いても、彼は小さく首を振っただけでした。
友達はカップを置いて、私のほうを見ました。
「そろそろ出よっか」
店を出て改札で手を振った友達は、来たときより少しだけ表情がやわらかく見えたのです。

そして...

ホームに並んでも、彼は一言も話しませんでした。
悪口を言っているだろうと問い詰めたのは、彼のほうです。
その彼が、私が席を外した数分の間に何も言わなくなった。
友達に連絡しようかとも考えましたが、隣にいる彼の前でスマホを開く気にはなれません。
電車の近づく音がしたとき、彼がこちらを向きました。
「あのさ」
彼は一度言葉を切ってから、まっすぐ私を見ました。
「疑ってごめん。記念日、やり直させてほしい」
思いがけない言葉に、私はしばらく彼の顔を見ていました。
私が「うん」とうなずくと、彼はほっとしたように息を吐きました。
あれほど疑っていた彼に、私がいなかったあの数分で何が起きていたのでしょう。

(20代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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