
「俺に感謝しろ」と言った彼→祖母の家の座敷で「毎月、ありがとうね」と言われた私
コラム
座敷で向かい合った祖母は、私の両手を包むように握りました。何度もお礼を言ってくれたのに、私にはその心当たりがまったくなくて…。
組み立て終わった棚の前で、同棲中の彼がドライバーを置きました。腕を組んで棚を眺めてから、得意げにこちらを振り向きました。そのあとに続いたのは、すっかり聞き慣れた彼の口ぐせでした。
棚の前で聞いた口ぐせ
「俺に感謝しろ」
彼は胸を張って、そう言いました。
ゴミ出しをしてくれた日も、電球を替えてくれた日も、最後には同じ言葉がついてきます。料理も洗濯もほとんど私がしているのに、と言いたいのをのみこむのが常でした。
少し前、玄関で彼が何かの伝票を書いていたことがあります。近づくと、彼はそれを2つ折りにしてポケットに入れました。
「仕事のやつ」とだけ言って、彼は部屋に戻っていったのです。
その週末、彼が改まった顔で言いました。
「ばあちゃんの家に、一緒に行ってほしい」
彼の祖母は、電車とバスを乗り継いで2時間ほどの町で、1人暮らしをしています。私が会うのは、そのときが初めてでした。
座敷で握られた両手
バス停から歩いて着いたのは、古い平屋の家でした。玄関の戸を開けた祖母は、彼より先に私の顔を見て、目を細めました。
「よく来てくれたねえ」
通された座敷には、お茶とお菓子がもう用意されていました。彼が手土産を渡す間も、祖母はずっと私のほうを見ていたのです。
お茶をひと口飲んだところで、祖母が座布団ごと私のそばへ寄ってきました。そして、私の両手を包むように握ったのです。
「毎月、ありがとうね」
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心当たりのないお礼




























