「俺に感謝しろ」と言った彼→祖母の家の座敷で「毎月、ありがとうね」と言われた私

コラム

心当たりのないお礼

何のことか分からず、私は彼のほうを見ました。彼は窓の外の庭に目を向けたまま、こちらを見ようとしません。
「この前の梨も、甘くてねえ。あなたが選んでくれたんでしょう」
祖母はうれしそうに続けました。梨を送った覚えなど、私にはありません。
「いえ、あの」
言いかけた私の手を、祖母はもう一度しっかりと握り直しました。
「あの子をよろしくね。本当に、あなたのおかげ」
彼は庭を見たまま、湯のみを口に運んでいるところでした。

そして...

帰りのバスで、彼は窓際の席に座り、しばらく外を眺めていました。私の膝の上には、祖母が持たせてくれた漬物の袋がのっています。
バスがしばらく走ったころ、彼はようやく口を開きました。私の知らなかったことを、1つずつ打ち明けていきます。全部を聞き終えて、私の口から出たのはこの一言でした。
「勝手に私の名前を使わないで」
「俺に感謝しろ」と言う彼の隣で、祖母に感謝されたのは私でした。彼はなぜ、私に黙って、私の名前を使っていたのでしょうか。

(20代女性・アパレル販売)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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