
親友に「やっぱり今度でいい」と言った私→上の空だった2カ月間の事情
コラム
改札の前で「あのさ、」と言いかけたまま、私はその日も続きを飲み込みました。
その少し前、カフェでスマホを裏返す直前に見えた通知は、不動産会社からの内見の案内でした。向かいの席では、親友が首をかしげていました。
言い出せないまま過ぎた2カ月
親友とは高校からの付き合いで、駅前のいつものカフェで月に2回ほど会ってきました。
2カ月前、九州の支社への異動の内示を受けたのです。迷った末に引き受け、来月には向こうへ移ることになっていました。
いちばん先に伝えたかった親友にこそ、会うたびに言い出せないままでした。口に出した瞬間、それが本当に決まったことになる気がしたのです。
会っている間も、どう切り出すかばかり考え、不動産会社からの連絡が気になってスマホを何度も確認していました。「ごめん、もう1回言って」と聞き返す回数が増えていることにも、自分で気づいていたのです。
大事な報告まで聞き逃して
その日、親友が話していたのは、半年かけて準備した企画のこと。
「それでね、結局その企画、通ったんだ」
「そうなんだ、残念だったね」
そう返したのは、引っ越しの日程を考えている途中でした。親友がすぐに言い直します。
「通ったんだってば」
「あ、ごめん。よかったね」
慌てて笑いながら、結果すら聞けていなかったと気づきました。少しして、親友が聞いてきます。
「ねえ、最近私の話、つまんない?」
「そんなことないよ」
本当にそう思っていたから、迷いのない返事だったはずです。直後にスマホが光り、返信は後回しにして画面を裏返しました。
親友がそれ以上聞いてこないことに、ほっとしていました。
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改札で言いかけた続き





























