
「映画の趣味が合わない女は無理」と言った彼→私の選んだ映画のあと、ロビーの売店に並んだ
コラム
パンフレットを買った彼
「ちょっと待ってて」
ロビーに出ると、彼はそう言って売店の列に並び、パンフレットを1冊買ってきました。あれだけ趣味が合わないと言った映画のパンフレットです。
「どうだった?」
そう聞くと、彼はパンフレットを胸の前で持ったまま、しばらく考えていました。
「最後まで見てよかった」
返ってきたのはそれだけで、泣いていたことには一言も触れません。私も、どう聞けばいいのか分からないままでした。いつもなら映画のあとは感想を言い合いながらお茶をするのに、その日は彼のほうから「帰ろうか」と言い出したのです。
そして...
帰りの電車でも、彼はパンフレットを膝の上に置き、表紙をじっと見ていました。
趣味が合わないと言ったのは何だったのか、あの涙は何だったのか。聞きたいことはいくつもあるのに、切り出すきっかけがつかめません。
駅の改札を出たところで、彼が足を止めました。
「話してないことがある」
彼はパンフレットを握り直して、こちらに向き直りました。そして、私の知らなかったことを順番に話してくれました。最後まで聞いてから、私は「なんで今まで言わなかったの」と少しだけ怒りました。
あの涙と、売店で買ったパンフレット。彼がずっと言わずにいたことは、あの映画とどうつながっていたのでしょうか。
(20代女性・営業事務)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)






























