
「年下の男は頼りない」が口ぐせの私が凍った坂で転んだ→3歳下の彼が迷わず曲がった横道
コラム
背中の上で
ためらいましたが、ほかに帰る方法は思いつきません。買い物袋を片手に提げて首に腕を回すと、彼は思っていたよりも軽々と立ち上がりました。いつもより大きなリュックは、体の前に抱え直しています。
彼は坂をそのまま下りずに、途中で横道へ曲がりました。
「こっちの道のほうが、凍ってないから」
私には初めての道でした。街灯の少ない細い路地を、彼は迷う様子もなく進んでいきます。店の場所も覚えられない彼が、どうしてこんな道を知っているのか。
聞けばいいだけなのに、その一言を何度も飲み込みました。背中の上で、彼の肩をつかむ手に少しだけ力を込めていたのです。
そして...
マンションの前に着くと、彼は植え込みの縁に私をそっと下ろしました。息は少し上がっていますが、重かったとも疲れたとも言いません。
彼は抱えていたリュックのファスナーを開けて、スニーカーの箱を取り出しました。箱の横の数字は、私の靴と同じサイズです。
何度も口にしてきた「年下の男は頼りない」という自分の言葉が、急に恥ずかしく思えてきます。店の場所も覚えられない彼が、なぜ凍っていない道を知っていて、私のサイズの靴を持っていたのでしょうか。
(30代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)




























