婚約指輪を一緒に選ぶはずの売り場で、私の手元も見ずに「一番安いので」と店員に言った彼

コラム

コンビニの角で伝えた気持ち

足を止めたとたん、店からずっと口にできずにいたことが、そのまま声になりました。

「一緒に選ぼうって言ったの、そっちだよ」

彼が何か言いかけたのを待たずに、続けます。

「一生の記念になる指輪だから、予算のことも含めて、一緒に選べると思ってた」

プロポーズされたばかりなのに、こんなことで責めていいのか。電車の中で、何度も考えたことです。でも、ここで飲み込んだら、これから先も同じように飲み込んでしまう気がしました。

「なのに、私の顔も見ないで決めたよね」

言いながら、自分の声が少しずつ大きくなっていくのが分かりました。

彼は私の左手に目を落としたまま、しばらく黙っていました。

そして...

薬指の仮の指輪を、外してしまおうかとも思いました。けれど、外せば今の言葉まで軽くなる気がして、そのままにしました。

しばらくして、彼はゆっくり顔を上げました。口を開いた彼が話したのは、売り場では一言も出てこなかったことでした。

「最初から、そう言ってよ」

そう返しながら、私は少しだけ笑っていました。駅からの残りの道は、彼と並んで歩きました。

店員さんに「一番安いので」と言ったあの時、彼の頭には何があったのでしょうか。

(20代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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