「何に使ったの?」同棲中の彼女のバッグを売った3万8000円→俺がトランクから持ってきた物

コラム

「もう使った」と答えた俺

数日後、彼女に棚のバッグのことを聞かれ、スマホを見たまま「ああ、あれ?売ってきたよ」と答えました。聞き返されて「場所取るし、全然使ってないでしょ」と言ったのも、片付けてあげたつもりだったからです。

「勝手に売ったってこと?」

彼女の声が大きくなり、俺は財布からレシートを出しました。受け取った彼女が聞きます。

「このお金は?」

「もう使った」

俺はそう答えただけで、テントの話はしませんでした。わざわざするほどのことでもないと思っていたのです。

「あのバッグ、全部いつ買ったか覚えてるの」

そう言って彼女は、4つのバッグを買った日を1つずつ挙げていきます。初めてのボーナス、資格試験、大きな案件、25歳の誕生日。聞き終えても、俺の口から出たのはこれでした。

「でも使ってなかったじゃん」

彼女はまっすぐ俺を見て聞きました。

「何に使ったの?」

口で説明するより見せたほうが早い。そう思い、車の鍵を取って駐車場へ向かいました。

そして...

トランクから箱を抱えて戻ると、彼女はクローゼットの前に座ったまま、箱に印刷されたテントの写真を見つめました。

「それ、私のバッグなんだね」

責める言い方ではありませんでした。それなのに、あのお金が彼女にとって何だったのかを、そのとき初めて考えた気がします。俺にとっての古い道具と、彼女にとってのバッグは、同じ使っていない物ではなかったのです。

次の休み、彼女がテーブルに置いたままにしていたレシートを持って店へ行くと、バッグは2つしか残っていませんでした。買い戻すには、売ったときよりずっと高い金額がかかりました。箱のままのテントを返品し、その代金に貯金を足して払いました。持ち帰ると、彼女は黙って受け取り、棚に戻しました。

棚には、2つ分の空きが残ったままです。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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