
嘘をついて妻の実家に行かなかった俺→妻の実家で、俺がずっと面倒だったこと
コラム
玄関で、片方の靴を脱いだまま
家に着くと、妻はもう帰っていました。靴を脱ぎかけたところで、妻がスマホの画面をこちらに向けました。
「ここにいたよね」
画面を見てから、俺はバッグを玄関の床に置きました。
「……大学の友達と飲んでた」
妻は画面を向けたまま聞きました。
「なんで仕事って嘘ついたの」
俺は足元のタイルを見たまま、言い訳を探しました。気を遣いたくなかったと言えば、妻の家族を悪く言うように聞こえる気がしたのです。
妻は続けました。
「私は毎回、あなたの実家に行ってるよね」
母と並んで台所に立つ妻の背中を思い出しました。タイルから目を離し、俺は答えました。
「……ごめん。ちゃんと話す」
そして...
ダイニングへ行くと、妻はタッパーを冷蔵庫にしまい終え、椅子に座ったところでした。俺も向かいの椅子を引き、口を開きかけました。
その前に、妻は冷蔵庫からタッパーを出してテーブルに置きました。蓋には義母の字で、俺の名前が書いてありました。
「お母さんには、自分で言って」
それだけ言って、妻は寝室へ入っていきました。
お義母さんに電話かけるか。そう思って番号を開いても、電話1本かけるのさえ面倒でした。その面倒を、妻は連休のたびに俺の実家で引き受けてきました。
発信ボタンを押し、仕事ではなかったことを義母に謝りました。電話を切ったら、妻にも本当のことを話すつもりです。
(30代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)































