待ち合わせに遅れた俺が、止まった電車の中で送れなかった一行

カップル

届いたのは「じゃあ」だけ

「五分遅れる」を送ってから1時間がたった頃、「じゃあ」が届きました。

その先に何が続くのか、画面をいくら見ても分かりませんでした。もう帰る、なのか。もういい、なのか。どちらにしても、このまま黙っていたら終わる気がしました。

その直後、電車がようやく動き出しました。駅に着くなり改札を抜け、走りながら「じゃあの続きは会って聞かせて。いま走ってる」と送ったのです。

美術館までの坂を駆け上がった先、入口脇のベンチに彼女の姿。膝に手をついて息を整えながら、言うべきことはたくさんあったはずなのに、口から出たのは「ごめん」だけでした。

そして...

窓口で次の回の券を買い直し、展示を見て回るあいだも、理由は言い出せないままでした。

駅へ向かう途中で、彼女から切り出された一言。

「じゃあ、次は遅れる理由もちゃんと送って」

少し間をあけて、「うん」とうなずきました。

その夜、電車が止まっていたことも、半年前の「電車が遅れてて」が寝坊だったことも、全部打って送りました。今度は消さなかったのです。

しばらくして届いた返事は、「そっか」だけでした。スマホを置いて、次の待ち合わせの日のアラームを30分早くセットし直しました。

(20代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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