
「今月も小遣い制か」とため息をつく夫。通帳を全部開いて見せた夜、先に謝ったのは彼でした
コラム
開いたままになった先月のページ
「これ、うちの全部」
通帳を1冊ずつ開いて、ノートの今月のページと並べました。夫は生活費の通帳から順にめくり、積立の通帳を開いたところで顔を上げました。
「これ、何の積立?」
「車検と、部屋の更新料。来年まとめて出るから」
夫はうなずき、ノートを手元に引き寄せました。ページを1枚ずつ戻していき、先月のところで、めくる音がしなくなりました。言い返す言葉なら、引き出しを開ける前から用意してあったのに。先に頭を下げたのは、夫のほうでした。
「ごめん。俺、あの紙だけ見て決めつけてた」
「私も、大丈夫しか言ってこなかったから」
用意していた言葉の代わりに、口から出たのはそれだけでした。
そして...
次の給料日、茶封筒の隣には開いたままのノートがありました。封筒を受け取る前にページをめくり、積立の欄を指で確かめる夫。その日は、小遣いへの不満は聞こえませんでした。
ただ、夫の言った「あの紙」が何のことなのかは、まだ聞けずにいます。
(30代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)






























