彼女との通話に女性の声が入った瞬間、俺の口から出たのはいつもの言い訳でした

コラム

スタンプばかりの返事

それから数日、天気の話や紅葉の見頃の話を送っても、返ってくるのはスタンプか短い相づちばかりでした。済んでいなかったのだと、そこでようやく気づきました。

洗面所の棚に増えた姉の化粧ポーチを見るたびに、送ったドラマの文面が頭に浮かびました。

もみじ狩りの前日、姉は自分から義兄に連絡して、家へ帰っていきました。話せない理由は、もう残っていませんでした。

「紅葉の日、ちょっと話したいことある」

「わかった」

そして...

当日は駅で待ち合わせ、山道を歩いた先のもみじの下のベンチで、頭を下げて姉のことを話しました。彼女が姉夫婦と仲がいいこと、義兄に伝わったら困ると思ったこと、姉のタイミングで言わせてあげたかったこと。どれも嘘ではありません。

「最初から、そう言ってくれたらよかったのに」

彼女の言うとおりでした。手のひらに乗せられたもみじは、持ち帰って手帳に挟んであります。

ただ、あのとき「テレビ」がなぜあんなに早く口から出たのか。その理由は、まだ話せていません。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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