「それだけは無理」友人のカメラを受け取らず、見知らぬ夫婦に撮影を頼んだ私。その理由は

コラム

押すだけでいいと分かっていたのに、友人のカメラを受け取れなかった私。旅の間ずっと撮られる側にいたのには、誰にも話していない理由がありました。

列の最後尾から、白い枠の中に立つ友人を見ていました。カメラを構えているのは、先ほど会ったばかりの夫婦の奥さん。本当なら、私が引き受けるはずの役割でした。大学時代からの友人と出かけた、2泊3日の旅の途中のことです。

撮られる側にいたかった

「写真得意なんだから撮ってよ」

港町の駅を出て最初の坂道で、友人の首から下がったカメラを指さし、そう頼みました。友人の撮る写真は、被写体の人がとても楽しそうに写る。ずっとそう思っていたのです。

頼んだのは1枚や2枚ではありません。カフェでは席を待つ人がいるのに料理の角度を何度も変えさせ、神社では柵をまたごうとして腕をつかまれました。後ろで待つ人の視線には気づいていたものの、カメラを向けられている間はそれを見ないふりでやり過ごせました。

途中で「私のことも撮ってよ」と言われても、「あとでね」と笑って流したままでした。

押せなかったシャッター

私は写真を撮るのが昔からひどく苦手でした。構えると傾き、シャッターを押した瞬間にブレてしまう。高校の修学旅行で仲のよかった友達グループを撮ったときのことです。

「目をつぶっているし、ブレているよ。もう撮らなくていいや」

笑いながら言われた一言でした。そのあと彼女たちは、別の子に撮り直しを頼んでいました。

それ以前から写真を撮るのは苦手でしたが、その出来事以来、人のカメラを預かることまで避けるようになりました。

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背中に回った両手
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