「今、君の家の近く」と元カノに送った俺。説明できないまま、隣の彼女と届けに行った物

コラム

手渡しのつもりだった封筒

ジャケットの内ポケットには、鍵を入れた封筒があります。顔を見て謝り、手渡しで返す。それが筋だと思っていました。

「ごめん、今は無理」

元カノからの、当然の返事でした。用件も分からないまま、別れた相手に呼び出されて出てこられるはずがありません。隣の彼女が、俺の腕を軽くたたきました。

「無理って言われたら、それでいいんだよ」

俺は小さくうなずいて、「わかった」とだけ返しました。入り口の集合ポストに、封筒を入れます。中身は鍵と、長く借りたままにしたことを詫びる短い手紙だけ。彼女と暮らし始めることは、書きませんでした。

そして...

駅へ戻る途中で、もう1通だけ送りました。

「ポスト、見ておいて」

既読はつきましたが、返事は今も届いていません。最初の一言を、元カノがどんな気持ちで読んだのか。考えるたびに、送信済みの画面をさかのぼってしまいます。

「返せたんだから、それでいいじゃん」と彼女は笑っていました。届かない返事を気にしながら、俺は今日も段ボールにガムテープを貼っています。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

  • X
  • Line