
「忘れていいからね」と送った私に朝まで既読だけの彼→届いた「郵便受け、見てほしい」の先にあった封筒
コラム
「忘れていいからね」。取り消すように送った一言にも、既読がつくだけでした。眠れないまま迎えた翌日、彼から届いたのは返事ではなく、ある場所を指す短い一文です。
3回目のデートから帰ると、コートも脱がずにベッドに腰を下ろしました。スマホの画面には、送るかどうか何度も迷った文面が打ち込まれたまま。指先で送信ボタンに触れたのは、それから少したってからでした。
送ってしまった「好き」
彼とは、友人の紹介で知り合いました。2人で会うのはその日が3回目。まだ付き合っているわけではありません。
穏やかに話を聞いてくれるところも、本屋で好きな作家の話になると急に早口になるところも、会うたびに好きになっていました。その日の別れ際、「また連絡するね」と手を振る彼を見送りながら、今日伝えようと決めたのです。
「今日もありがとう。あなたのことが好きです」
既読は、すぐにつきました。私はスマホを両手で持ったまま、返事を待ちました。
取り消したかった一言
10分たっても、30分たっても、返事は来ませんでした。
既読はついている。読んだうえで、返事に困っているのだろうか。それとも、どう断ろうか考えているのだろうか。彼のやさしさを知っているぶん、彼が断りの言葉を探している姿ばかりが浮かびました。
2時間ほどたった頃、耐えきれずに送りました。
「ごめん、急にこんなこと言って。忘れていいからね」
これにも既読がつきました。けれど、やはり返事はありません。
送らなければよかった。あと何回か会ってからでもよかった。ベッドに横になっても、何度も画面を点けては、自分の送った2つの吹き出しを眺めました。窓の外が白んでも、彼の名前は通知に出てきませんでした。
次のページへ
「郵便受け、見てほしい」





























