「笑うなよ。理由、あるんだから」と言った僕→長いメッセージだけを正座で翌日に読んでいたわけ

コラム

祖父は50年間、ある人からの手紙だけは正座で読んでいました。僕がその姿を真似するようになったのは、彼女から初めて長いメッセージが届いた日からです。

通知に表示された書き出しを見て、僕はスマホを持ったまま立ち上がりました。付き合って8か月の彼女が、コンビニへ飲み物を買いに出たところでした。ラグの上で膝をそろえ、両手で画面を持ち直します。彼女が戻るまでに読み終えるつもりでした。

祖父が正座で読んでいた手紙

僕の祖父は、祖母からの手紙を読むときだけ、必ず正座をする人でした。「書いた人の時間をもらうんだから、背筋を伸ばして読め」。子どもの頃、何度もそう言われました。
僕にとって、彼女の長いメッセージは手紙と同じでした。だから長いものだけは、家で落ち着いてから、正座をして読むと決めていました。
短いメッセージなら、「普通に疲れた」とすぐに返せます。けれど平日は帰ると座る前に寝てしまい、長いメッセージを開くのはいつも翌日になっていました。

短い返事しかできなかった理由

言い合いをした日に届いた「この前のこと、ちゃんと伝えたくて書きます」も、次の日の夕方に正座をして読みました。
何度読み返しても、どんな返事も彼女の文面に釣り合いません。結局、送れたのは「わかった。ごめんね」だけでした。
「長いのは読みたくない?」と届いたときは、すぐに「そんなことない」「ちゃんと読んでる」と返しました。正座のことを書けば、きっと笑われます。それに祖父と祖母の話までしたら、付き合って8か月の相手には重すぎる気がしました。

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