
「知ってる。だから先に言っておこうと思った」元恋人の家の隣の駅に部屋を借りた俺が、住所まで送ったわけ
コラム
送らなかった、もう1通
自分の返事を読み返して、ようやく気づきました。理由を添えずに「知ってる」と送れば、知っていて選んだとしか読めません。会えたらいいと思っていた相手を、いちばん怖がらせる順番で送っていました。
説明を打ち直しました。配属のこと、家賃のこと、快速のこと。書き終えてみると、画面の半分が言い訳で埋まっていたのに、本当の理由だけはどこにも書けていませんでした。全部消して、残したのは2通です。
「配属先がそこになった。駅で急に会ったら、つけてきたと思われるのが嫌だった」
「俺からはもう連絡しない。見かけても声かけないから」
少しして、短いお礼が届きました。その下に「元気にしてる?」と打ち込み、送信の手前で消しました。連絡しないと書いたのは、自分のほうだったからです。
そして...
引っ越してからも、倉庫へはバスで通っています。駅を通るたびに、乗り換えの階段のほうへ目が向きました。そのたびに、「正直ちょっと怖い」の一言を思い出します。見かけても声をかけない。自分で書いたそれだけは、守るつもりです。
(20代男性・物流会社勤務)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)































