
「お前の家族に嫌われてる」と言った俺が、彼女の実家の廊下で聞いた電話
コラム
喫茶店のテーブルに置かれた画面には、俺の知らない言葉が並んでいました。それを読んで、半年前のあの廊下のことを、ようやく話してみようと思えたのです。
彼女の実家の廊下は、台所の奥へまっすぐ続いていました。手を洗って居間へ戻ろうとしたとき、奥の部屋からお父さんの声が聞こえてきます。電話の相手に向かって、お父さんは強い口調で話していました。
聞こえてしまった声
「あいつだけはやめておけ。俺なら絶対に許さない」
誰の話なのか、確かめる勇気はありませんでした。
初めて挨拶に来た日にそんな言葉を聞けば、自分のことだと思うしかありません。
居間に戻ってしばらくすると、お父さんも何事もなかったように席に着きました。
俺はうまく笑えなくなり、早めに帰ろうと彼女に言ったのです。
帰り道で「お前の家族に嫌われてる」と口にしたのは、それしか言葉にならなかったからでした。
理由を聞かれても、「なんとなく分かる」としか答えられません。
言えなかった理由
電話のことを話せば、彼女はきっとお父さんに問いただすはずです。
親子の間に、俺のせいで溝ができるのは避けたいと思いました。
だから理由は言わず、実家に誘われても断り続けたのです。
彼女がお父さんと会う約束を取りつけてきたときは、正直に言えば逃げたい気持ちでした。
喫茶店の窓際で、お父さんは鞄からスマホを取り出しました。
「母さんとのやりとりを見せる。あの日のあとのものだ」
テーブルに置かれた画面を、俺はおそるおそるのぞきこみました。
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任せられる




























