
「変な顔」としか言えなかった私→展望台の写真をロック画面にした日、ガラスに映る彼の隣で見ていたもの
コラム
あとで、と言った理由
親指は、マークに触れる手前で離れていました。スマホを伏せて「あとで消すね」と言うのが精いっぱいです。
その日の帰り、私は消すどころか、あの写りをロック画面に設定しました。消してと言われたものを、一番目に入る場所に置いたことになります。自分でも理屈に合わないと分かっていました。
彼からのメッセージには、いつも通りに返すだけでした。展望台のことには触れられないまま、数日が過ぎました。
そして...
次の休みの日、彼の部屋でお茶を待っていると、テーブルの上のスマホが通知で光りました。お茶を置いた彼の目が、その画面に向いています。
スマホをひっくり返して「見た?」と聞くと、彼はうなずきました。
ごまかす言葉を探しましたが、出てきたのは本当のことでした。「あなたと歩いてる私の顔が、恥ずかしかったの」。
彼は少し考えてから、「じゃあ、その顔の横の俺は何なの」と笑いました。答えられずに、私はクッションに顔をうずめました。
あの日恥ずかしかったのは、彼の隣を歩くことではなく、彼の隣でゆるみきっていた自分の顔でした。
(20代女性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)































