
「飲み会に彼女を呼ぶ男は無理」と言った俺が、座敷に彼女を呼ぶしかなかった事情
コラム
座敷のふすまの前で
ふすまを開ける前に、一度だけ彼女の顔を見ました。巻き込んでしまうことが、申し訳なかったのです。
ふすまを開けると、手前の席の先輩がこちらを見上げ、目を丸くしました。小声で彼女に「先輩」と伝えてから、俺は先輩のほうを向きました。
「彼女です」
「え!」
同僚たちの声が重なるなか、先輩は少し間をおいてから笑い出したのです。
「わざわざありがとうね」
彼女があいさつをすると、座敷はまた笑い声に包まれました。先輩はそのあと、食事会の話を一度もしていません。
そして...
彼女はウーロン茶を1杯だけ飲んで、15分ほどで店を出ました。駅までの道で、俺は「助かった」としか言えませんでした。
疑われていたことも、自分の言葉を曲げたことも、話すにはまだ照れくさかったのです。「今度ちゃんと話す」と言ったきり、その今度はまだ来ていません。帰りの電車で、先輩から「いい子じゃん」とメッセージが届いていました。それも、彼女にはまだ見せていないままです。
飲み会に彼女を呼ぶ男は無理だと言った俺は、あの日、自分から進んでその男になっていました。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)






























