「保険なんて騙されてる」と言った俺が、彼女の保険を使わずに払おうとした通帳の中身

コラム

通帳の中身

寝室の引き出しの通帳は、2年かけて少しずつ貯めてきたものでした。
いつか彼女に渡す指輪のために、給料から分けておいたお金です。
この部屋に越してきたころから、渡す日をずっと決めかねていました。
「これで足りるはずだから」
数字を見せたのは、足りると分かって安心してほしかったからでした。
指輪のことは言えないまま、通帳を鞄の内ポケットに入れます。
「明日、下ろしてくる」
テーブルに置かれた保険の控えを、俺は見られませんでした。

そして...

次の日、出かけようとした俺の前に、彼女が控えを持って立っていたのです。
「1回だけ、電話させて」
保険会社の担当者は、下の階の修理費も補償の対象になると説明してくれました。
俺は横から、控えの細かい文字を何度も読み返していました。
電話を切った彼女に「だから言ったでしょ」と言われ、頭を下げるしかありませんでした。
父の言葉を信じ込んでいたのは、俺のほうだったのかもしれません。
鞄の内ポケットの通帳は、指輪の値段のまま1円も減りませんでした。

(30代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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