
来週は5年記念日なのに「約束したっけ?」と言った彼が、約束の画面を見て玄関を出ていった
コラム
スマホの画面をしばらく見つめたあと、彼は上着をつかんで玄関に向かいました。テーブルの上には、開いたままの私のスマホだけが残されています。
カレンダーアプリに入れていた記念日の通知が、スマホに表示されました。付き合って5年になる彼とは、2年前から一緒に暮らしています。ソファで隣に座る彼に、私はその画面を見せました。
記念日の話をした私に
「来週、5年目の記念日だね」
彼はテレビから目を離さずに、「そうだね」と答えるだけでした。
3年前の記念日、私たちは初めてデートをした洋食店に行きました。窓際の席で、少し緊張しながら乾杯したものです。帰り道に彼が送ってくれたメッセージを、私はときどき読み返していたのです。
「あの店、予約した?」
そう聞くと、彼はようやくこちらを向きました。
「約束したっけ?」
冗談めかした言い方ではありませんでした。本当に覚えていないような、きょとんとした顔です。
私は返事をせずに、その顔をしばらく見返していました。
3年前のメッセージ
リモコンの横に置いていたスマホを手に取り、メッセージの履歴をさかのぼりました。
探すのに、時間はかかりません。3年前の記念日の日付で、彼からの1通が残っていました。
「5年目の記念日には、あの店にもう1回2人で行こう」
その画面を、彼の目の前に差し出しました。
「ほら、言ったよ」
少し意地の悪い言い方になったのは、自分でも分かっていたのです。
彼は私の手からスマホを受け取り、画面に目を落としたのです。
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画面を見つめたままの彼




























