
「昇進した女は可愛くない」と言った俺→台所で振り向いた顔と、その言葉の続き
コラム
あの言葉には、彼女が聞いていなかった続きがありました。台所で振り向いた俺の顔が、なぜあんなふうになったのかを話します。
ネットの記事の下に、女性の管理職についての書き込みがいくつも並んでいました。ソファでそれを眺めていた俺は、1つを声に出して読み上げました。ひどいよね、と彼女に言うつもりだったのです。
聞かれなかった続き
「昇進した女は可愛くない」
書き込みをそのまま読み上げてから、顔を上げました。
「って、こういうこと書くやつ、まだいるんだな」
そう続けたとき、リビングにはもう誰もいません。
ガラス戸の向こうで、彼女がタオルをたたんでいました。
洗濯物を取り込みに行っただけだと思い、それ以上は気にしなかったのです。
彼女が仕事の話をしなくなったことにも、俺はすぐには気づけませんでした。
母が仕事を辞めた理由
俺が小学生のころ、母は勤め先で昇進しました。
その知らせを聞いた父が、食卓で口にしたのがあの言葉です。
母はそれから1年もしないうちに、仕事を辞めてしまいました。
その話をするとき、母がいつも笑っていたのが、子ども心に余計につらかったのを覚えています。
父のようにはならないと、俺はずっと思って生きてきたつもりです。
だからあの書き込みを見たとき、声に出さずにはいられなかったのでした。
次のページへ
台所で振り向いたとき




























