
「昇進した女は可愛くない」と言った俺→台所で振り向いた顔と、その言葉の続き
コラム
台所で振り向いたとき
数週間後、フライパンを振っていると、彼女が仕事から帰ってきました。
振り向かずに「おかえり」と言った俺に、彼女は続けて言いました。
「昇進したよ。可愛くない女になっちゃった」
その言葉で、彼女があの日の続きを聞いていなかったと分かったのです。
彼女は何週間も、あの言葉を俺の本音だと思って過ごしていました。
父と同じ言葉を、俺は彼女に聞かせてしまっていたことになります。
振り向いたとき、自分がどんな顔をしていたのかは覚えていません。
「ちょっと待って」とだけ言い、火を止めて寝室に入りました。
彼女の前で泣くのは違う気がして、何度も深く息を吐いて顔を上げたのです。
そして...
寝室を出て、テーブルの椅子を1つ引き、彼女のほうを見ました。
「座ってくれる?」
向かいに座った彼女に、最初に「昇進おめでとう」と言いました。
彼女は「遅い」と返して、少しだけ笑ったのです。
父が母に言えなかった言葉を、ようやく1つ言えた気がしました。
それから、書き込みのこと、聞かれなかった続きのこと、母のことを順番に話していきます。
彼女は途中で一度だけ、「なんで先に言わないの」と怒りました。
可愛くないどころか、昇進した日の彼女は、俺が知っている中で一番いい顔で怒っていました。
(30代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)






























