「じゃあ、俺の分これね」と2000円を出した俺→車も免許もないのにドライブに誘い続けたわけ

コラム

会計で「じゃあ、俺の分これね」と差し出した2,000円。彼女の好きなドライブに付き合ってあげたのだから、それで十分。高速代やガソリン代のことは、頭に浮かびもしなかったのです。

マッチングアプリで彼女のプロフィールを開くと、趣味のところに「ドライブ」とありました。車も免許も持っていない俺には、縁のなかった言葉です。それでも、彼女が喜ぶなら付き合ってあげようと思ったのです。

プロフィールにあった趣味

彼女とは1か月ほど前にマッチングアプリで知り合い、一度だけ食事に行きました。
運転が好きな人なら、隣に誰かを乗せて走れるだけでうれしいはず。興味のない趣味でも、合わせてあげるのが優しさだと思っていました。
「ドライブ行きたい」
「いいね!行こう」と返ってきて、やっぱり喜んでくれたと満足しました。だから「車はどうする?」と聞かれたときも、迷わずこう返したのです。
「え、運転してくれるんでしょ?」
彼女の「いいよ」が届くまでしばらく間があいたことは、気にも留めていませんでした。

助手席で口にしたこと

当日、駅のロータリーで彼女の車に乗り込むと、思ったことがそのまま口から出ていました。
「なんか狭くね?」
特に意味のない一言で、彼女も笑っていたので気にもしていません。
パーキングエリアでトイレをすすめられたときは、レストランのメニューをスマホで見ていて、こう返しただけです。
「大丈夫」
車に酔う人がいることくらいは知っていましたが、自分が酔うとは思ってもいませんでした。山道のカーブが続くうちに気分が悪くなり、お腹まで落ち着かなくなってきます。
「ちょっと酔ったかも」
「トイレ行きたい」
彼女が車を脇に寄せて探してくれた公衆トイレまで、10分以上。そのあいだ、助手席で目を閉じて、気分が落ち着くのを待っていました。湖のレストランで食事を終えると、テーブルに伝票が置かれます。それを手に取ったのは俺でした。

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