来週は5年記念日なのに「約束したっけ?」と言った彼が、約束の画面を見て玄関を出ていった

コラム

画面を見つめたままの彼

彼はしばらく、何も言わずに画面を見ていました。指で少しスクロールしては、また同じところに戻ります。
「ごめん」
小さくそう言うと、彼はスマホをテーブルに置きました。それから立ち上がり、椅子の背にかけていた上着をつかみます。
「ちょっと出てくる」
「え、今?」
私の声には答えず、彼は玄関で靴を履いて出ていきました。ドアの閉まる音のあと、部屋にはテレビの音だけが残っていました。ソファには、彼が座っていたくぼみがついたままでした。

そして...

テーブルの上では、私のスマホが3年前の画面を映したままでした。
彼が送ってくれた1通を、もう一度読み返してみます。どこにもおかしなところはありません。彼に「どこ行ったの?」とメッセージを送っても、返事は来ないままでした。
しばらくして、彼は買い物袋を提げて帰ってきました。袋をテーブルに置くと、彼は自分のスマホを手に、ゆっくり話し始めました。話を聞き、見せられた写真をしばらく見てから、私は「先に言ってよ」とだけ言いました。
忘れていたのなら、謝って終わりにすればいい話です。それなのに彼は、なぜあの画面を見て家を出ていったのか。「約束したっけ?」と言ったあの顔は、本当に忘れていた人の顔だったのでしょうか。

(20代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

  • X
  • Line