初めての遠出デートの帰り、高速でサービスエリアに3回も寄った彼。長く待たせて戻る手はほとんど手ぶら

コラム

3回目に抱えてきたレジ袋

3回目のサービスエリアの看板が見えると、彼は何も言わずにウインカーを出しました。

今度は何を買ってくるのだろう。腕を組んだまま、入口を眺めていました。

彼がレジ袋を両手で抱えて戻ってきたのは、10分ほどたってからです。運転席に座ると、袋の口を広げて差し出しました。中には、包装の違う牛乳パンが3つ。

「どれか分かんなかったから、全部買った」

真顔の彼と膝の上に並べた3つのパンを見比べているうちに、こらえきれずに笑ってしまいました。

「3つも食べられないよ」

そして...

笑いがおさまってから、聞いてみました。

「なんかずっと落ち着かないから、怒ってるのかと思った」

「え、そう見えてた?」

彼は目を丸くして、照れたようにハンドルを指でたたきました。

1つを半分に分けて食べた牛乳パンは、定休日だったあのパン屋のものとは少し違う味がしました。それでも車内には、ラジオ以外の声が戻ってきていたのです。

ただ、1つだけ引っかかっています。1回目も2回目も、彼はほとんど手ぶらで戻ってきました。あの長い待ち時間、彼は建物の中で何をしていて、なぜ何も言わなかったのでしょうか。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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