
「押せば止まるだろ」新幹線に乗り遅れた記念日、緊急ボタンを押した俺に彼女が駅員に伝えたひと言
コラム
手元の画面から顔を上げた駅員さん
駅員室の椅子に座っても、俺は同じ話を繰り返しました。子どもがホームに落ちそうに見えた、だから押した、と。駅員さんは手元の画面から顔を上げて、こう言いました。
「ホームのカメラで確認しましたが、お子さんは映っていませんでした」
カップを握り直す俺に、駅員さんは続けます。後ろの列車も含めて何本も遅れが出たこと。乗っていた大勢の人の予定が狂ったこと。乗り遅れを理由にボタンを押すことは、決して認められないこと。
子どもの話は、取り下げるしかありませんでした。名前と連絡先、その場で起きたことを書類に書き、「後日、改めてご連絡します」と言われて、ようやく駅員室を出られました。
そして...
改札を出ると、手の中のコーヒーはすっかり冷めていました。彼女とのチャットを開いて「あそこまで言わなくても」と打ちかけ、送れないまま画面を閉じます。
駅員さんの話を聞いたあとでも、俺はまだ、彼女が隣で合わせてくれていたらと考えてしまうのです。
(20代男性・営業職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)






























