「今日は3人分なんです」パフェを3つ並べた私に、店員さんが「おかえりなさい」と言った事情

コラム

店長が覚えていたこと

「閉店後にメニューを眺めてた、あの3人の?」

店長の、周りには聞こえないくらいの小さな声でした。

「覚えててくれたんですか」

私がそう聞き返すと、店長は目を細めました。

「いつ頼むのかと思って、ずっと見てたんだよ」

口元に手を当てたまま、私は何度もうなずいていました。やがて店長は立ち上がり、去り際に少しだけ声を大きくしました。

「おかえりなさい」

厨房へ戻っていく足音を聞きながら、しばらく顔を上げられずにいました。少しにじんで見える、テーブルのパフェ。

それから2つのグラスを向かいの空いた席の前へ滑らせ、3つが並ぶように写真を撮りました。「店長、まだいたよ。覚えててくれた」と添えて送ると、すぐに2人から返事が届きました。

「ちゃんと3つある!」

「店長まだいるの?会いたかった」

グラスを自分の前へ戻し、いちご、チョコ、抹茶の順に一口ずつ。2人の分まで、ゆっくりスプーンを運びました。

そして...

しばらくすると、通路を挟んだ隣の席に、いちごのパフェが運ばれていきました。少し照れたようにグラスを見つめる、仕事帰りらしい女性。

思わず笑いかけて会釈をすると、その人も慌てたように頭を下げてくれました。

3人で分けるはずだったパフェを、その日は1人で食べきりました。グループチャットには、次の日程の候補がもう並び始めていたのです。

(30代女性・事務職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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