
「暇な時だけ呼ぶから」と彼に言った私が、週末ごとに通っていた場所
コラム
白い車の運転席
最後の講習を終えた日、教官に「もう大丈夫ですね」と言われました。
「今週末、暇になった」
「駅のロータリーで待ってて」
当日はレンタカーを借りて、駅に向かいました。講習で乗っていたのと同じくらいの大きさの、白い車です。ロータリーの端に、彼が立っているのが見えました。
窓を下げて、声をかけました。
「乗って」
彼は目を丸くしたまま、助手席に乗りこんできたのです。ウインカーを出す手は、少しだけこわばっていました。
「どこ行くの」
「着いたら話す」
そして...
向かったのは、高速道路で1時間ほどの海沿いのサービスエリアです。駐車場に車を止めて、隠しててごめん、と心の中で謝りながら、講習のことも、お盆のことも話しました。
「そういうことは、先に言って」
彼は頭をかきながら笑ってそう言いましたが、あの電話の言葉は、しばらく根に持たれそうです。帰りの運転は、結局彼が代わってくれました。
「暇な時だけ呼ぶから」と言った私が、暇を全部使って練習していたのは、彼を呼ぶためではなく、彼の隣で運転を代わるためでした。
(20代女性・美容部員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)






























