「実習先で会った女は」と言った彼→実習先の洋菓子店で私を見た日

コラム

言いかけた言葉

「すみません、今日は帰ってもらえますか」
彼は女性の言葉にかぶせるように、私に頭を下げました。
まるでお客さんに向けるような、よそよそしい敬語です。
女性は何か言いたそうに彼を見ましたが、それ以上は続けませんでした。
結局、ケーキを1つも買わずに店を出ました。
駅までの道で、あの「毎日」の続きを何度も考えました。
毎日一緒にいる、毎日楽しそう、どれを当てはめても嫌な想像しか浮かばないのです。
しばらくして、彼からは「ごめん」とだけメッセージが届きました。

そして...

その日、彼はいつもよりずっと早く帰ってきました。
手には、白い紙袋を提げています。
玄関に立ったまま、彼は紙袋を背中のほうへ回しました。
「ちょっと座って」
返事をしないまま、私はソファの端に腰を下ろしました。
彼が差し出した紙袋には、白い箱が入っていました。
箱の中にあったのは、私の好きなレモンのタルトです。
「覚えてたんだ」
私がそう言うと、彼は何より先に牛乳のことを謝りました。
けれど、あの女性のことは、まだ何も聞けていません。
「この子ね、毎日」。あの女性が言いかけた言葉の続きは、何だったのでしょうか。

(20代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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