「うちの彼、年収低くて」と友人に笑った私→彼の印刷所のカウンターで見た、大手企業からの封筒の中身

コラム

書類に書かれていた数字

「条件のご提示」
その下に並んだ年収の欄には、彼から聞いていた金額の、倍近い数字が書かれていました。友人に笑いながら言った言葉が、そのまま頭によみがえります。見てはいけないものだと分かっていても、目をそらせませんでした。
奥から足音が近づいてきて、電話を終えた彼が出てきたのは、そのすぐあとです。彼は私の顔とカウンターの書類を、交互に見ました。
「見た?」
「断ったの?」
彼は書類を封筒に戻しながら、小さくうなずきました。

そして...

どうして、と聞きたい気持ちを、カウンター越しにぶつけそうになったのです。倍の年収を断る理由が、どうしても思いつきません。
「帰ったら話す」
彼はそう言って、財布を受け取りました。封筒はカウンターの下の引き出しにしまわれ、もう見えません。
職場に戻る道すがら、友人に笑った自分の声と、電話口の彼の硬い声が、交互に思い出されました。倍の年収と引き換えにしてまで、彼が守ろうとしたものは何だったのでしょうか。

(20代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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