
「誰に会うの?」に「それは、まだ言えない」と答えた俺→ノートに並べた質問の先で会おうとしていた人
コラム
言えなかった相手
彼女は1つずつ、ちゃんと答えてくれたのです。
「スーツは紺とグレー、どっちがいい?」
「初めて会う人に、最初に何て言えばいい?」
「目上の人と話すとき、俺の話し方で直したほうがいいところある?」
紺がいいこと、名乗ってからお礼を言うこと、語尾を伸ばす癖のこと。全部ノートに書き込みました。
「誰に会うの?」
「それは、まだ言えない」
あなたの両親です、とは言えませんでした。挨拶に行きたいと伝えるのは、指輪を用意してからと決めていたからです。
そして...
玄関で「助かった」と頭を下げたのは、本心からでした。
年上ぶるなと言ったあの日のことは、まだきちんと謝れていません。指輪を渡すときに、一緒に謝るつもりです。
ノートの最初のページには、彼女の答えを写した「紺」の字があります。年上ぶるなと言った相手の言葉を、俺は誰よりも頼りにしていました。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)































