
「約束したっけ?」ととぼけた俺が、約束の画面を見て玄関を出たわけ
コラム
画面の下に残っていた返事
スマホを受け取り、自分の送った文面を読み返しました。
少しスクロールすると、その下に彼女の返事が続いています。「お店がなくなっても、2人で行くならどこでもいいよ」。3年前の彼女は、そう送ってきていたのです。
「ごめん」
とぼけたことが、急に恥ずかしくなりました。店の代わりを探すより先に、話すべき相手が隣にいたのです。
上着をつかんで「ちょっと出てくる」と言い、彼女の「え、今?」に答えないまま家を出ました。
そして...
駅前のスーパーで卵とバターと玉ねぎを買い、閉店した店の前を通って帰りました。シャッターの貼り紙は、スマホで写真に撮っておいたのです。スーパーにいる間に届いた彼女のメッセージには、返事をしませんでした。帰って顔を見てから話したかったからです。
家に戻ると、彼女はテーブルの前でスマホを見つめていました。俺は買い物袋を置き、閉店のことと、練習していたオムライスのことを話したのです。
彼女は貼り紙の写真をしばらく見てから、「先に言ってよ」とだけ言いました。
約束の画面に残っていたのは、店の名前だけではありません。俺が守るべきだったのは、「2人で」という言葉のほうだったのです。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)






























