
「元カノのほうが料理上手だったな」と言った彼のご飯をやめた数日後→冷凍庫の製氷皿に貼られていたメモ
コラム
それ、まだ開けないで
「それ、まだ開けないで」
リビングから、彼の声がしました。振り返ると、彼はソファから腰を浮かせてこちらを見ています。製氷皿を手にしたまま、私は聞きました。
「何が入ってるの?」
「今度ちゃんと言うから」
それだけ言うと、彼はソファに座り直しました。
製氷皿を冷凍庫に戻し、扉を閉めます。
私の料理を元カノと比べておいて、自分は私に見せられないものを凍らせている。もしかして、元カノに教わった何かなのか。考えているうちに、手元のハーブティーはぬるくなっていきました。
そして...
それから冷凍庫を開けるたびに、ラップの白い塊が目に入りました。彼は相変わらず、私がお風呂に入っている間に台所に立っています。
次の休みの日、彼は肉じゃがの器を私の前に置き、頭を下げました。
「元カノのほうが上手なんて、言える立場じゃなかった」
ひと口食べると、思っていたよりずっとおいしい肉じゃがでした。私が少し笑うと、彼はほっとしたように息をつきました。
ただ、製氷皿のことには、彼は一言も触れませんでした。元カノと比べた彼が、私に見られたくないほど大事に凍らせていたのは、いったい何だったのでしょうか。
(20代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)































